バンダイ HGUC ゴッグ レビュー

 

今日はちょっと寄り道して、再び掘り出し物を発掘していきます。

 

今回ご紹介するのは、「HGUC ゴッグ」です。

 

発売から実に18年もの時間が経過したガンプラですが、未だにリニューアル化もされず、現在もしぶとく生き残っている初の水陸両用MSを見て行きましょう。

 




 


パッケージ


 


付属品一覧


パーツ数は以前に取り上げた「HGUC ガンタンク」とほぼ同じ。

 

慣れたユーザーなら30分で組み上がり、時間に余裕の無い方や、手軽に組み立てたい方にはオススメ。

 

 


MSM-03 ゴッグ


「MSM-03 ゴッグ」は、ジオン公国軍が初めて実用化した水陸両用MSである。

 

開発はジオン公国重工業メーカー「ツィマッド社」主導で行われ、同じくジオン公国の軍需企業「ジオニック社」からもたらされた「ザク・マリンタイプ」のデータを元に、プロトタイプゴッグを経て完成。

 

「ザク・マリンタイプ」は耐圧性(装甲強度)や機体の形状から、実戦に耐えられるものではなく、全く新たな観点から開発に着手したものこそこの『MSM-03 ゴッグ』である。

 

生産は主にキャリホルニア・ベースにて行われていたが、これは連邦軍への牽制としての意味合いも兼ねていた。

 

本機はジオン公国軍で初めて実用化された水陸両用MSであるものの、後発機に比べれば決して高性能とは言えないものであったが、数々の画期的な技術が意欲的に導入された。

 

ザクやグフ、ドムといったこれまでの陸戦型MSと異なり、機内に大量の冷却水を積載する水冷式を採用することで、高出力ジェネレーターの搭載が可能となり、MSとしては初のメガ粒子砲の装備にも成功。

 

これは従来機の約2~3倍と破格の高出力であり、ビーム兵器を最初に搭載したMSであることを忘れてはならない。

 

このビーム兵器の採用は、連邦軍の技術であるエネルギーCAP技術ではなく、ジェネレーターに直結型であり、同軍のビーム兵器の小型化や開発・製造におけるノウハウにも大きく寄与している。

 

しかし本機最大の特徴は、その強固な重装甲と頑強な機体構造であり、同社の強みである装甲技術が採用された外装は、水深200m程度の水圧ではビクともせず、バルカン砲はおろか、機雷やミサイルといった通常兵器すら寄せ付けない防御性能を誇る。

 

その重装甲とパワーは格闘戦では無類の強さを発揮し、水中では浮力を利用した高い機動性により、防水対策がなされていない連邦軍MSでは不利な戦いを強いられていた。

 

加えて、本機は水中航行時は機雷等から機体を保護する「フリージーヤード」と呼ばれるゲル状の保護膜を展開することで、これらを無力化してしまう等、隠密作戦でも多用された。

 

また、航続距離も非常に長く、本機の最高速度は70ノットと極めて高速であり、電撃的な上陸作戦を可能にしつつも、そのまま帰還することが十分可能なであり、従来のMSとは比較にならない行動半径の広さを誇った。

 

反面、冷却水の大量積載や重装甲化によって機体重量は80t以上(全備重量時は160t)に至り、陸上での機動力は極めて劣悪となっただけでなく、ビーム兵器に対する防御手段が皆無、稼働時間が短い、メガ粒子砲の収束率が低いといった、多くの問題点が浮き彫りになってしまった。

 

しかし、上陸作戦の際には潜水艦隊からの支援を受けることで、地上への強襲揚陸は絶大な威力を発揮した。

 

特に連邦軍の勢力圏である港湾施設の破壊・制圧や海上輸送の寸断において脅威と化し、ジャブロー攻略戦や秘匿された秘密工場や施設の発見・哨戒任務等にも大き役割を果たし、ジオン公国が制圧地域の占領維持が可能にしたのは本機の功績と呼んでも過言ではない。

 

特に連邦軍は航空戦力の損耗著しい時期に至っては、部隊を移動させるのに海上輸送を余儀なくされていた時に限って、ジオン公国軍の水陸両用MSはそれを水際で食い止めると同時に、大きな脅威だったのだ。

 

本機が投入が急がれていたためか、生産時期によって多少の仕様変更がなされ、前期型と後期型に分別され、後期型は他機種との性能差を埋めるべく機能面での改善・向上が図られている。

 

その後、後に正式採用された『MSM-07 ズゴック』との連携が優秀であったことから、統合整備計画後は改良型として『MSM-03C ハイゴッグ』が開発されるに至っている。

 

HGUC8番目のキットであるゴッグ。

 

ガンダム界の大横綱とも形容すべき重量級機体であり、スタイリッシュがトレンドな現行のMSとは一線を画す重厚なフォルム。

 

未だリニューアル化されておらず、後発のアッガイやゾゴック等と比べると簡便な作りであり、目を見張るようなギミックも無く、関節の可動範囲もそれ程広くはありません。

 

しかしながら、プロポーションバランスは良好で、低価格とは裏腹に中々のボリューム感が自慢。

 

太いぜ。

 

ファーストガンダムのMSらしいシンプルなデザインと相まって、組み立ても30分掛かるか掛からない程にお手軽。

 

 


頭部


頭部は極めてシンプルなデザインで、造形に関しては優秀。

 

モノアイはシールで再現され、黒地のシールの上から、モノアイのシールを貼り付ける仕組みで、モノアイの位置は調節可能。

 

しかしながら、明らかに内部をくり抜いてクリヤーパーツ化可動化を断行した方が賢明。

関節はボールジョイント接続で、首を左右に振るのが精一杯。

 

上を向いたり、俯いたりはほぼ不可能という、絶望的な可動範囲の狭さ。

 

首の自由度がこの上なく低いので、モノアイの可動工作は不可避。

 

 


肩部


肩はボールジョイント接続で、ショルダーアーマーが干渉してあまり動きませんが、自由度の高い腕部がその弱点をカバーしており、思ったよりは動く印象。

 

基本的には回転可動しか出来ず、近年のシリーズのような柔軟な可動は出来ません。

 

ここも改修の可能性は少なからず存在。

 

 


腕部


腕はフレキシブル・ベロウズ・リムと呼ばれる多重関節構造。

 

肘関節に該当する箇所はありませんが、それでも可動域は良好。

 

ABSによるポリキャップレス構造なので、塗装対策や定期的な手入れは怠らないように。

 

ゴッグを象徴する巨大な手は、武器や盾として機能するアイアンネイル

 

対象年齢の関係上、爪先は丸まっており、爪のシャープ化もディテールアップには欠かせない部分。

 

指はボールジョイントにより、全て独立可動。

 

意外と表情付けが多彩なので、動かしていて面白い箇所。

 

 


胴体


その常識外れの重装甲の厚みを感じさせる胴体。

 

お太い。

 

力士を彷彿とさせる体型は、ゴッグに力強いイメージを与えます。

 

腹部にはメガ粒子砲と、魚雷発射管を装備。

 

造形は時代相応といった雰囲気で、精密感は今一つ。

 

市販のアクセサリーパーツによる、ディテールアップも考慮したいところ。

 

胴体は腹部関節のおかげで、屈むような動きが可能。

 

しかし、左右への旋回等はあまり出来ず、一応回転させることは可能ですが、著しくシルエットを崩します。

 

首関節と並び、このキットの鬼門とも言える厄介な部分。

 

背部のバックパックは、非常に簡素なデザインとディテール。

 

ノズルが可動するといったギミックは無し。

ノズル内部のモールドは特に問題なし。

 

股下にも推進装置が造形され、細部のディテールは意外にも繊細。

 

 


下半身


たくましくもドッシリとした脚部は、ガンダムの約1.5倍近い太さ。

 

太すぎるッピ!

 

腰部パーツの立体表現も、シンプルな分良好。

 

左右には合わせ目が出来るので、消すかモールド化するか悩みどころ。

 

股関節はボールジョイント接続で、開脚もこの程度が限界。

 

太ましい足の割りには良く動く方です。

 

膝関節は初期HGUCとしては珍しい二重関節ですが、それでも可動範囲は90°程。

 

逆に言えば、ゴッグのデザインは二重関節を採用しないと、まともに曲がらないと言えます。

 

デメリットばかり目立つようですが、ここでセールスポイントをご紹介。

 

このキットは、18年前には既に膝関節がポリキャップを被せる方式を採用しており、合わせ目処理や塗装応策は万全。

 

脛の合わせ目処理をしても、塗装が気軽に行えるのは嬉しいところ。

 

脛は前述したように、合わせ目が中央に出現する挟み込みタイプ。

 

合わせ目を消すも、モールド化するもユーザー次第。

 

膝アーマーにはダクトが精密に造形。

 

各部関節のディテールに関しては、作品の世界観を重視したシンプルな印象。

 

足首の可動範囲は普通で、左右への可動はそれなり。

 

前後への可動も特筆すべきところは無し。

 

しかしながら、接地面積が大きいので安定性はシリーズ随一。

 

足裏は肉抜き穴こそありますが、モールドや立体感に関しては、かなり精巧な印象。

 

 


比較


『RG ガンダム』との比較

 

スマートなプロポーションのガンダムと並ぶと、ゴッグの屈強な体躯がより強調され、ガンダムが力勝負で圧倒されるのも納得のボリューム。

 

実写じゃくてもザクでも力負けするガンダムほんとひで。

 

『MG ゴッグ』と比較

 

元々ボリューム感抜群のゴッグが、1/100スケールへサイズアップしたことでさらに巨大化。

 

プロポーションも若干変更され、重量感はそのままに、MG版はより小顔で大腿部もより肉付きが良くなり全体的にマッシブに。

 

バンダイ MG ゴッグ レビュー

 




 


水中巡航形態


腕部は差し替えることで、水中巡航形態を再現可能。

 

まずは本体から腕を取り外し、次に手首を分離。

 

分離後、ショルダーアーマー内の接続ピンに手首を接続。

 

指はこの時、内側に握るように可動。

 

以上で完了。

 

流石にMGのようには参りませんが、それでも結構様になっています。

 

18年前のキットなので、アクションベースに対応していないという欠点もあるので、この辺りの改修も必須と言えば必須。

 

 


アクション


「さすがゴッグだ、何ともないぜ」

 

アーケードゲーム「連邦vsジオン」のゴッグはやたら格闘が強力で、おまけにHPの高さからしぶとさも併せ持つ強敵。

 

「ガンダムバトル」シリーズでは、フリージーヤードというインチキ装備のおかげで、ゲーム内では大半の実弾兵装を完封する堅牢さを発揮するなど強スギィ!

 

ビーム以外なら何ともないぜ。

 

ということで、『HGUC ゴッグ』でした。

 

現行のアイテムラインと比べ、如何せん見劣りする部分が多いものの、プロポーションバランスや造形そのものは秀逸。

 

安上がりだからね、しょうがないね。

 

但し、ディテールアップのための改修箇所がかなり多く、それなりに大掛かりな作業になることも十分予想されます。

 

少なくとも、モノアイの可動は最低限の改修として推し進めたいところ。

 

比較的ディテールが抑えられたデザインで立体感されているため、アニメーションのイメージが好みの方にはオススメ。

 

オプションパーツが無いので、気軽且つ手軽に組み立てられるのも魅力。

 

おまけに単価の安さも魅力で、場合によってはワンコインで購入出来るので、お財布にも優しいキットです。

 

そして、今回はこのように完成させました。

 

プロポーションは全く弄らず、各部ディテールアップを念頭に、ウェザリングやシャドーを重視した塗装を施しています。

 

ということで、今は色々なキットの改修作業で手一杯なので、合間を見ては少しづつ改修していく予定です↓

HGUC ゴッグ改修1(スジ彫り追加・シャープ化) 

HGUC ゴッグ改修2(モノアイ可動化・細部のディテールアップ) 

HGUC ゴッグ完成(塗装改修済み)

それではみなさん。

 

楽しいホビーライフを。

 

 

 


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