今回のガンプラは、その近未来的なデザインと、劇中での活躍ぶりから人気の「ケンプファー」をご紹介。
HGUCとしては、「サザビー」や「νガンダム」と同時期に発売されたものですが、製品自体の出来は現行フォーマットには及ばないとは言え、十分優秀な部類です。
それでは早速レビューへと参りましょう。
パッケージ
付属品一覧
パーツ総数は、通常のHGよりはやや多め。
完成までの所要時間は1時間半~2時間程度。
シールは、ホイルシールとテトロンシールの二種類が付属。
その他に、チェーンマイン用のリード線が付属。
MS-18E ケンプファー
「MS-18E ケンプファー」は、ジオン公国軍が大戦末期に開発された強襲用MSであり、未完成機であるジオングを除けば、ジオン軍で事実上最後に開発された機体である。
本機は強襲用として設計され、単独で敵軍防衛網を突破することを念頭に完成しており、試作機であった「YMS-18 プロトタイプ・ケンプファー」を経て正式採用され、変更も外装の一部廃止のみに留まっている。
なお、機体名の ケンプファー(KÄMPFER)とはドイツ語で「闘士」を意味しているが、同軍において例外的に有意味語の名称が用いられた背景から、戦争末期の混乱ぶりが顕著に表面化していることが伺える。
本機は強襲用機という特性から、隠密性の高い特殊部隊に優先的に配備されており、大戦末期に開発されていた関係で、その生産数は決して多くは無かったと言われている。
また、特殊部隊が運用する性質上、機体はパーツ単位に分解して搬送可能で、専門のメカニックでなくても容易に組み立てが可能な設計であることから、整備性の高さでも定評があった。
機体には大推力スラスターに加え、全身に姿勢制御用バーニアを搭載しており、これにより同時期のMSを遥かに凌駕する推進力と高機動性を発揮出来るだけでなく、この機体特性を活かして前傾姿勢で滑空することで、高速で目標に到達することを可能としている。
加えて、全身のマウントラッチを介して武装を搭載し、弾薬を撃ち尽くした後も、ジョイントごと排除することで機動性の低下を極力抑える配慮がなされていた。
この優れた機動性と運動性は、装甲重量削減による徹底した軽量化による賜物であり、装甲の大半は敵機からの攻撃を受けやすい正面のみに集中し、操縦者の回避技術のみで攻撃を避けることを前提としているが、並大抵のパイロットではその機動性を完全に引き出すことは難しい。
さらに、軽量化によって機体の対弾性は著しく低下しており、「RX-78 NT-1」の「90mmガトリングガン」の掃射によって容易く撃破されてしまうケースもあった。
装備の大半は「専用ショットガン」や「ジャイアントバズⅡ」、「シュツルム・ファウスト」といった実弾兵器主体で、当時ジオン軍で採用され始めていたビーム兵器は大腿部に内蔵された「ビーム・サーベル」のみに留まっているが、これはビーム兵器使用によるジェネレーター出力の低下を懸念しての措置である。
実弾兵器主体とはいえ、その火力は当時の連邦軍主力MSを一撃で破壊可能な程であり、俊敏な機動性と相まって強襲用MSに相応しい驚異的な攻撃力を発揮した。
装甲強度や防御性能を除けば、総合性能は「RX-78 ガンダム」に匹敵するとまで言われ、極めて優秀な機体であることは言うまでもない。
最も有名な機体は、「サイクロプス隊」に所属していたミハイル・カミンスキー中尉が搭乗していた機体で、単機で連邦軍MS部隊である「スカーレット隊」を全滅させる活躍を見せつけたものの、肝心の破壊目標であった「RX-78 NT-1」の撃破には至らず、戦闘の末に破壊されている。
ということで、「ケンプファー」です。
当時、「機動警察パトレイバー」で人気を博した出渕裕先生によってデザインされ、「サザビー」と同様に先進的なフォルムが特に高い支持を得ているのが特徴。
キットは2007年発売のキットですが、同時期に発売された「HGUC サザビー」や、「HGUC νガンダム」でも採用された、当時最新の新型ポリキャップ等の新技術が惜しみなく投入されており、そのポテンシャルは現在でも十分通用する完成度。
プロポーションも「MG ケンプファー」から洗練され、より力強いメリハリのある力強いプロポーションへ昇華させている等、より魅力的なものへ変貌しています。
パーツ分割による色分けも秀逸で、大半のバーニアも別パーツ化され、素組みでもイメージは概ね再現。
劇中で使用した装備も全て付属し、全身のマウントラッチを介して懸架可能。
頭部
従来のジオン系MSとは異なるシャープな顔立ち。
モノアイは非可動で、シールで表現。
ブレードアンテナを始め、バルカン砲等の各部ディテールも精密に再現。
首周りのケーブル等も、一体成型ながら精緻に造形。
後頭部は大きく突き出た特殊な形状で、この部分が首の関節に干渉します。
首関節はボールジョイント接続ながら、首の根本が大きく可動。
左右に首を振る動作も問題無し。
肩部
スラスターが内蔵されたショルダーアーマー。
スパイクは左肩のみに装備。
肩はボールジョイント接続で、腕はショルダーアーマーとの兼ね合いで、ギリギリ水平まで上げることは可能。
ショルダーアーマー自体も独立可動し、腕の可動を出来る限り阻害しない構造。
肩関節基部は前後可動式で、前方向に大きく可動。
腕部
優美な曲線主体の腕部は、同時に力強さを併せ持ったフォルム。
肘の可動範囲は90°よりやや曲がり、標準以上の可動域を保持。
上腕も回転可動。
胴体
大きく張り出した胸部が印象的な胴体。
スラスターも細部まで分割。
背部には巨大なスラスターが多数配置され、圧巻の光景。
ノズル内部も精巧に造形。
ディテールも細部までリアルに再現。
腰部はボールジョイントで可動し、左右への旋回は問題無く行えます。
また、引き出し機構も備えるため、大きく仰け反るような動きも可能。
下半身
80年代らしい裾の広がった形状で、ボリューム感溢れる脚部。
大腿部はスラスターが密集した独特の立体形状。
しかしながら、大腿部のノズルは内部までは色分けされていません。
有機的なラインの大腿部。
ビーム・サーベルは一体成型。
股関節はボールジョイント接続ですが、スカートアーマーを排した構成上、前後への可動域は思ったより良好。
反面、左右への可動範囲はそれなり。
膝は二重関節ですが、スラスターが接触するため90°程度しか可動せず。
ニーアーマー可動式で、膝の動きに合わせて、内側へ倒れる仕組み。
足首関節はボールジョイントと軸関節の混合。
左右への接地性に関しては、かなり優秀。
前後への可動も比較的良好。
足裏のディテールに緻密に表現。
比較
HGUC版と比較。
成形色だけでなく、プロポーションバランスの違いにも注目して頂きたいところ。
特に目立つのがスラスター、バーニアの色分けを果たしたMGの驚異的なパーツ分割と精度。
ケンプファーに限らず、ジオン系は後ろ姿が魅力的って、それ一番言われてるから。
オプション
オプションは、ケンプファーをケンプファーたらしめる、多彩な火器の数々が付属。
○ショットガン×2
○ジャイアントバズⅡ×2
○シュツルムファウスト×2
○ビーム・サーベル×2
○チェーン・マイン
付属するオプションは、通常サイズのHGとしては破格の付属内容で、加えてチェーン・マイン以外の武装は全身のマウントラッチを介して装備可能。
専用ショットガン
ショットガンは非可動で、二種類のグリップで2タイプを再現可能。
ジャイアント・バズ
リックドムⅡに付属しているものと同じタイプ。
グリップが可動式で、これにより自然に構えやすくなります。
銃器の大半はモナカ割りなので、合わせ目が出るのが欠点。
それ以外は造形、シャープさ共に秀逸。
シュツルム・ファウスト
携帯型ロケットランチャー「シュツルム・ファウスト」は、特にこれといったギミックは無し。
主に持たせる or 懸架させる以外使い道はありません。
チェーン・マイン
ケンプファー最大の秘匿兵器「チェーン・マイン」は、リード線に爆弾を取り付ける仕様。
リード線がフレキシブルに曲がるので、他のキットに巻き付けることも可能。
機雷は細部までリアルに造形化。
ビーム・サーベル
MGと違い、大腿部への収納は出来ません。
各種武装を懸架させる場合、付属のマウントラッチを介して接続。
フル装備状態
今振り返ると、ケンプファーは全部乗せの原点だった?・・・(哲学)
アクション
ということで、「HGUC ケンプファー」でした。
プロポーション、色分け、ギミック、豊富な装備と、価格の割には満足度の高い製品内容。
全体のフォルムも、アニメーションのイメージを反映しつつも、より立体映えするアレンジがなされています。
本体の合わせ目も極力目立たず、各部のディテールも良好。
成型色も劇中に近い、深みのあるディープブルーを中心に、色鮮やかなスラスターのイエロー等、パーツの分割具合はHG規格とは言え優秀。
特に製品の強みである大量の装備は、合わせ目以外は造形は良好で、細部の塗装やウェザリング等で質感を向上させると良いでしょう。
可動は一部デザインの制約を受けているものの、各部はフレキシブルに可動し、脚部以外の自由度はHGとしては中々優秀。
総合的に見ても、HGUCシリーズでもクオリティは上位に入るキットなので、ファンなら押さえておきたい一体。
今後も塗装を見越した改修を行う予定。
それではみなさん
楽しいホビーライフを。
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