ボークス 1/100 MBV-707-G テムジン レビュー

 

今回は過去にボークスから発売された、「1/100 テムジン707」をご紹介。

 

ボークス渾身のプラキットですが、初心者が組み立てるには敷居が高く、どちらかと言えば中級者以上向け。

 

素組みで満足出来ず、かと言って大改修はちょっとという、新たな新境地へ踏み出そうと思うチャレンジャーに手に取って欲しい製品です。

 

それでは、早速レビューへと参りましょう。

 




 


パッケージ


 

 


付属品一覧


キットは5色成型のインジェクションキット。

 

パーツ数量はかなりの量を誇り、組み立ても難易度が高いため、仮組みだけでも4~5時間程要します。

 

キットには水転写デカールが付属し、各種マーキングを再現。

 

 


MBV-707-G テムジン


「MBV-707-G テムジン」は、第7プラント「リファレンス・ポイント(RP-07)」が、第8プラント「フレッシュ・リフォー(FR-08)」からの技術援助を受けて完成させた第二世代VRで、伝説の名機「テムジン」の名を冠した高汎用標準機体である。

 

元々交易ジャンクション的存在であった「RP-07」は、「FR-08」と敵対していたRNAの第二世代VRに対抗出来る新型MBVの開発を委託されるものの、「RP-07」のVR開発に対するノウハウは低い水準であったため難航し、「FR-08」の支援を受けつつ、難産の果てにようやく開発にまでこぎつけたのである。

 

初代テムジンが人類史上初のVRなのに対し、このテムジン707型は第二世代VRでは最後発の機体として誕生し、他機と比較しても全ての能力が高次元でかつ、バランスの取れた高性能機として完成している。

 

その結果、主戦闘VR(MBV)としては破格の戦闘能力を発揮し、当時は地球圏最強の名を欲しいままにした。

 

機体の完成度の高さもさることながら、この707型の強さを支えるのが、主武装として携帯している新型ランチャー「スライプナー」の存在であり、内蔵した人工Vクリスタルによって、その形状を自在に変化させる万能兵装であった。

 

しかしながら、最大の特徴は背部に搭載された「マインド・ブースター」であり、これによりパイロットとの同調性を高めつつ、機体に強大な出力を発揮させることが可能で、走攻守のあらゆる面において他を寄せ付けない安定性を誇っていたのである。

 

また、この707型は火星圏の特殊環境によって、次々と稼働不能に陥った第二世代VRの中で唯一稼働出来た機体として重宝され、第三世代の「テムジン747型」のロールアウトまで主力として運用されていたことから、本機の信頼性の高さが伺える。

 

ということで、テムジン707です。

 

キットはシリーズ二作目「オラトリオ・タングラム」にて登場した、いわゆる二代目であり、他機同様にシンプルな初代と比べ、筐体の性能向上によるデザインの派手さが特徴。

 

ゲーム内では中堅程度に格付けされるも、抜群のレスポンスと安定性から、初心者からベテランまで幅広く愛されている名機。

 

肝心のキットはというと、造形に関しては非の打ち所がない程に優秀で、どの角度から見ても見紛うことなき二代目テムジンで、造形村の実力を遺憾なく発揮した高度な造形。

 

コトブキヤが出来なかった、悲願の1/100スケールモデル化を果たしたので、せめてライバル関係にあるテムジンとライデンの二体だけでも揃えておこうと思い今回購入。

 

一応はイロプラなので、オレンジ以外のカラーリングも大方再現し、合わせ目も殆ど表面に現れない構成になっているのも特徴。

 

可動範囲もかなり広く、MGにも匹敵する高い自由度を誇る反面、その関節部の強度には難があり、あまり雑に扱うと軸が折れやすいです。

 

組み込んだだけで白化しやすく、特に膝や股関節の脆弱さは無視出来ないレベルで、各種補強は必須。

 

また、キットはスナップフィットを採用していますが、基本的には接着剤使用のため、スナップフィットは仮組み前提で使い分けないと、動かすと分解しやすいです。

 

そういった意味では、中級者以上向けの扱いの難しいキットで、ボークスのプラキットに対するノウハウがまだ不完全という厳しい現状を痛感するキット。

 

ただ、改修さえ出来れば究極のテムジン707が手に入るため、腕に覚えのあるモデラーは是非ともチャレンジして欲しい一品。

 

 


頭部


VR独特のバイザーが個性的な頭部。

 

細部までリアルに3D化されており、どこからどう見てもテムジン707。

 

頭部を始め、センサー類等はクリヤーパーツが採用されており、ディテールも秀逸。

 

 

首関節はボールジョイント接続で、特に可動を阻害するものが無いため、自由度はかなり高め。

 

 


肩部


コンパクトながらも複雑なデザインの肩部。

 

曲線と直線が入り混じった、絶妙なラインをリアルに造形。

 

モールド等も精密に再現。

 

ショルダーアーマーも、ボールジョイント接続で個別に可動。

 

肩関節は多重関節により、前後及び上下に可動し、広い可動範囲を得ています。

 

但し、関節部がバラけやすいので、接着して固定した方が無難。

 

 


腕部


腕部は塗装もしやすいように、かなり分割されたパーツ構成。

 

肘部分の四角錐状のパーツも別パーツ。

 

上腕は合わせ目があり、強度的にも接着して固定を推奨。

 

肘は二重関節ではないながらも、90°以上は可動するなど、可動範囲は優秀。

 

ハンドパーツは関節の造形まで精密に再現。

 

手首はボールジョイント接続で、関節がかなり硬め。

 

そのままだと白化して破損しやすいため、ジョイント径を削ったりして調整した方が良いでしょう。

 

 


胴体


複雑な立体表現を細部まで緻密に再現した胸部。

 

背部のVコンバータや、マインド・ブースターも細部まで緻密に造形化。

 

胸部は面構成が極めて複雑ながら、造形村の高い技術力により難なく立体化。

 

センサー類も全てクリヤーパーツで再現。

 

色分けも思いの外良好。

 

くびれたウエストが特徴的な腰部は、多重関節で広範囲に可動。

 

このキットの隠れた魅力として、ナチュラルに関節が仕込まれた構造なため、可動させても関節部の不自然な露出を防ぐ等、外観への配慮もなされているのが特徴。

 

左右に状態を傾ける動作も可能。

 

腹部にも可動軸が内蔵され、屈むといった動作も可能。

 

腰部は左右に捻ることが可能。

 

マインド・ブースターは展開可能。

 

内部はクリヤーパーツが使用され、細部までこだわりの造形とディテール。

 

しかしながら、関節がやや貧弱で、パーツの組み込みも難易度が高いのが欠点。

 

Vコンバータは開閉可能で、内部はクリヤーパーツで再現。

 

ディスクは別パーツで再現し、マインド・ブースターと共に展開状態を再現可能。

 

 


下半身


優美な曲線が美しい脚部は、各部ディテールも精緻に再現。

 

関節部やフレーム部分もメカニカルに造形化。

 

大腿部は分解しやすいので、仮組みでも一部に接着剤を使用して固定すると動かしやすいです。

 

サイドアーマーはボールジョイント接続。

 

股関節は軸関節で、自由度はかなり高め。

 

膝関節は現在では主流の二重関節で、180°近い可動を実現。

 

スポーツシューズを彷彿とさせるデザインのつま先。

 

アンクルアーマーは独立可動。

 

足首関節は軸関節で、非常に高い接地性を再現。

 

これだけ複雑なデザインながら、可動域の広さと見た目の美しさを損なわないのは秀逸。

 

前後にもある程度可動し、踏ん張りの利いたポージングも可能。

 

足裏のデザインは複雑ながら、かなり細かく色分け。

 

中央にはクリヤーパーツを使用。

 




 


オプション


オプションはハンドパーツの他、主兵装「スライプナー」が付属。

 

ある意味本体とも言えるスライプナーは、特徴的な形状をリアルに再現。

 

ゲームのように質量保存の法則を無視した変形はせず、基本形態である「ニュートラル・ランチャー」として立体化。

 

分割も塗装しやすいように考えられており、塗装派にも配慮された構成。

 

ハンドパーツは武器持ち手、敬礼が付属。

 

 


アクション


 

ということで、「ボークス テムジン707」でした。

 

キットの造形に関しては、前述の通り複雑なデザインや、立体化の難しいフォルムを立体映えする造形で再現しており、テムジン707の立体物の集大成と呼ぶに相応しい内容。

 

可動範囲の広さも優秀で、ゲーム内のモーションの大半は再現可能な程で、アクション性に関しても申し分無し。

 

色分けに関しては、設定を再現するにはやや少なく、各々で塗装する必要があるものの、予め塗装しやすい構成で設計されているので、普段から塗装を行っている中級者以上のモデラーなら特に難しく無いでしょう。

 

しかしながら、欠点として関節強度の低さが顕著であり、真鍮線を内蔵して補強しないと折角の可動域の広さも活かせず、かなり厄介な部分。

 

また、そのカラフルで情報量の多いデザイン故、塗装も必然的にハードルが上がり、缶スプレーよりはエアブラシや筆塗りを駆使した高い塗装技術も要求されるため、総合的な面で見ると初心者にはオススメ出来ません。

 

特に、ガンプラしか組み立てたことがないユーザーには製作が大変厳しく、ガンプラのメリットである組立工程の易しさが、これまた最大のデメリットにもなっている悪い例で、あえてモデラーとしての技術向上を狙うなら購入の価値は十分あります。

 

キットの出来が悪い訳ではなく、手をかければかけるだけ完成度も底上げされるため、腕に自信のあるテムジン愛好家には是非とも手にして欲しい逸品です。

 

また、これを機に同スケールのハセガワ製「テムジン747-J」を製作しようと考えている方がおられるようでしたら、まずはこの製品から準備運動しておくことで、テムジン立体物製作のノウハウを得ることも良いかと。

 

最終的には、数百枚ものデカールを貼る、鋼鉄の精神力が必要となりますが。

 

それなら、コトブキヤ製の方が断然製作も塗装もしやすいので、プラモデルとしてのバーチャロン初心者は、コトブキヤ製のものをチョイスした方が良いかもしれない。

 

……同社からテムジン707はリリースされていないのですがそれは……(困惑)

 

それではみなさん。

 

楽しいホビーライフを。

 



1/100 電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム MBV-707-G テムジン プラモデル(ボークス限定)


 

 


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